本日は『異世界居酒屋のぶ』をご紹介
ここは城壁の古都『アイテーリア』。 『アイテーリア』は傭兵の町。
本日の案内人である傭兵さんは日中通して訓練に励み、さぞお疲れのご様子。 友人を誘い、早速、酒場へ出向くようだ。
今回紹介するのは、そんな傭兵さんがおすすめするこちらの酒場。
『異世界居酒屋のぶ』
なんだか見慣れない雰囲気に、お連れさんは戸惑っている。 我々取材班も、奇妙な店構えに少々驚きを隠しきれなかった。 異世界にはまるで似つかわしくないこの外観。 断固として周囲に溶け込もうとしない店構えに堂々とした出で立ちを感じさせられる。 待望の店内はというと…。
これまた、店構えと同じく奇妙な空間が広がっている。 カウンターの奥に店主が1人、席の側に若い女給が一人と、二人で経営しているらしい。 店に入ると若い女給が元気な声で我々を出迎えてくれた。 それに答えるように、本日の案内人はたじろぐお連れさんの肩に手を回し、ストンと席に着いた。
案内人いわく、この酒場では、お決まりのお言葉があるようだ。
その言葉とは「トリアエズナマ」。
『トリアエズナマ』…?我々取材班も、そんな名前のお酒は聞いたことがない。 『トリアエズナマ』とはいったい…といったところで運ばれてきたのがこちら。
な、なんだこれは…エール? 容器は硝子でできている。 取っ手までが硝子製だ。
そして驚くべきことがもう一つある。 なんとこのエール、キンキンに冷えてやがるのだ。
読者の皆さんはそろそろ落ち着かなくなってきた頃だろう。 肝心の味はどうなのか。 それは彼らが教えてくれる。
我々、取材班もいただいたが、まったく彼らと同じだった。感想も表情も仕草もなにからなにまで同じだった。これまでのエールが過去のものに『トリアエズナマ』のあじを知ってしまったが最後、もうエールなんて飲めやしない。
これは、料理も期待できそうだ。 案内人が、タイショ―(店の主人、ここではそう呼ぶのが通例らしい)に「今日は何を食べさせてくれるのか」と訪ねたところこう返ってきた。
本日の料理の名前は『おでん』。この発音がなかなか難しい。我々の発音はどうしても『オデン』になってしまう。 『カツドゥーン』もそうだったが、どうも、我々の世界では馴染みのない言葉なので、正しい発音が難しくなる。 どうにかして、この発音を習得したいものだ。 それほどに、『オデン』は最高だった。
上の画像に写っているのが例の『オデン』だ。 熱々の煮込み料理とでも言えば良いだろうか。 湯気に混ざる香りが非常に食欲を誘う。
初めて見る『オデン』に対し、連れの彼は様々な疑問を抱いていたようだが、一食にしてそれが晴れたようだ。
『オデン』は『アツカン』と一緒に嗜むのも最高だ。(『アツカン』についての詳細はあなたの目で確認されたし) 最高。それ以上の言葉がでてこない。 我々、取材班の負け、という他ない。
ただ、この勝負、負けてよかった。負けたからこそ次の勝利があるのだ。 今度の訪問は、取材とは関係なしだ。個人的に通おうと思う。
(決して彼女の笑顔に絆されたワケではないことをここに明記しておく)
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